副業の経費で認められるもの一覧【2026年版】|家事按分・NG例・保管方法まで解説

お金・税務

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「スマホ代や書籍代、経費にできると聞いたけど全額入れて指摘されたら怖い…」——そう思いながら確定申告の時期を迎えている人は多い。何が経費になって、何がならないのか。判断基準があいまいなまま申告すると、税務調査で否認されるリスクが生まれる。この記事では、2026年の制度を踏まえて「副業の経費」をカテゴリ別・職種別に整理する。

この記事でわかること

  • 経費として認められる3つの判断軸が理解できるようになる
  • 副業の種類別(Webライター・動画編集・せどり・ハンドメイド)に経費の具体例がわかる
  • 家事按分の考え方と記録のつけ方が身につく
  • スーツ・ジム費・接待費など「グレーゾーン」の判断基準がわかる
  • レシート・帳簿の保存期間と2024年から義務化された電子保存の要件がわかる

経費として認められる3条件を理解する

副業の経費判断で迷ったとき、まず戻るべきは国税庁タックスアンサー No.2210「家事関連費」の定義だ。「事業遂行に直接必要な費用」のみが必要経費として認められる。生活費との区別が困難な費用は原則として算入できない。

確定申告が必要かどうかの判断から整理したい方は副業の確定申告ガイドも合わせて参照してほしい。

この定義をもとに、経費として認められるかどうかを判断する3つの軸を整理した。これは国税庁が公式に「3条件」と呼んでいるわけではなく、所得税法施行令第96条をもとに実務上の判断基準を整理したものだ。

判断軸 チェックポイント
業務との直接関連性 その費用は副業の業務を遂行するために直接必要か
生活費との区別 プライベートと明確に分けられるか、または合理的な割合で按分できるか
支払いの事実 実際に支払ったことを証明する領収書・記録があるか

この3軸のいずれかが崩れると、税務調査で否認されるリスクが高まる。「なんとなく副業に使った気がする」では経費として通らないと理解しておきたい。

個別の費用が経費に該当するかの最終判断は、税務署または税理士にご確認ください。


副業で経費にできるもの一覧:7カテゴリ

通信費(家事按分が必要)

スマホ代・自宅のインターネット代は、副業に使った割合だけ経費にできる。全額を経費にするのは原則として認められない。

弥生の家事按分ガイドでは、時間基準(業務使用時間÷全使用時間)が一般的な算出方法として紹介されている。「副業に使っている実態と合理的な根拠」があることが求められる。

消耗品費(10万円以下のもの)

文房具・プリンターのインク・USBメモリなど、取得価額10万円未満の物品は購入年度に一括で経費計上できる。業務専用で使うものであることが前提だ。

書籍・学習費(業務直結分のみ)

副業の業務に直接必要な書籍・セミナー・オンライン講座は経費になりうる。「将来のキャリアアップのため」や「いつか役立つかもしれない」という理由では認められない(後述のグレーゾーンも参照)。

取材・移動のための交通費

取材先への交通費、クライアントとの打ち合わせのための移動費は経費として認められやすい。ただし「通勤交通費」は本業の給与所得側ですでに控除されているため、副業の経費としては計上できない。

家賃・光熱費(家事按分後の事業割合分)

自宅で副業を行っている場合、事業に使っている面積や時間に応じた割合分を経費にできる。詳細は次のH2「家事按分」で説明する。

広告費・外注費

クラウドソーシングで外注した費用、SNS広告費、ブログのサーバー代・ドメイン代などは業務に直結するため経費になりやすいカテゴリだ。

職種別の経費例

副業の種類によって認められやすい経費が異なる。

職種 主な経費例 注意点
Webライター PC・ソフト、編集ソフトサブスク、書籍、セミナー費、通信費(按分)、外注編集費 接待的飲食は否認リスク高
動画編集 編集PC・メモリ、Adobe CC等、マイク・カメラ、データ保管クラウド 10万円超は固定資産・減価償却
せどり 仕入原価(売上原価)、販売手数料、発送費、仕入交通費 未売却在庫は経費不可
ハンドメイド 材料費(販売分のみ)、工具、梱包材、出品手数料、発送費 未使用在庫の材料費は経費外

せどりとハンドメイドで特に注意したいのは「在庫」の扱いだ。弥生のせどり経費ガイドハンドメイド経費ガイドでも、未売却・未使用の在庫は経費計上できないと明記されている。「仕入れた」「材料を買った」時点では経費にならず、「売った分」に対応する費用だけが計上対象になる。

経費が出やすい副業の選び方が気になる方は副業の選び方ガイドも参考にしてほしい。


家事按分:割合の決め方と記録3ステップ

3つの按分基準

弥生の家事按分ガイドでは、費用の種類によって適切な按分基準が異なると解説している。

費用の種類 按分基準 算出の考え方
家賃・管理費 面積基準 事業使用スペース面積 ÷ 自宅全体面積
電気・ガス 時間基準 業務使用時間 ÷ 全使用時間
車両費 距離基準 事業用走行距離 ÷ 年間走行距離

重要なのは、所得税法施行令第96条の根拠を持つこの基準において、国税庁は「○%が標準」という固定比率を公定していない点だ。「合理的と示せる事業使用割合」であることが求められる。「よく聞く30%」「一般的に40%」といった根拠のない数字を使うのは避けたい。

仮定の例: 自宅80㎡のうち10㎡を副業専用スペースとして使っている場合、面積基準では10÷80=12.5%が按分割合の一つの考え方となる。ただし、この数字が自動的に正しいわけではなく、実態と照らし合わせて合理的かどうかが問われる。

按分ルールは白色・青色で区別されない

「白色申告と青色申告で家事按分のルールが違う」という情報を見かけることがあるが、これは法令上の根拠がない誤りだ。所得税法基本通達45-2の按分基準は、申告方法(白色・青色)によって区別されていない。

  • 業務使用割合が50%超の費用: 全額を必要経費に算入できる
  • 業務使用割合が50%以下の費用: 合理的に業務部分を区分できれば、その実額を必要経費として算入できる

「50%以下なら一切ダメ」ではなく、「合理的な区分ができるかどうか」が判断の核心だ。

按分記録を残す3ステップ

  1. 按分割合の根拠を文書化する: 面積なら間取り図、時間なら業務日誌のコピーを保存する
  2. 月次で計算して記帳する: 按分した費用を毎月の帳簿に記録する(年末まとめは記録の信頼性が下がる)
  3. レシートと紐づけて保存する: 経費の原本と按分計算メモをセットで保管する

個別の按分割合の適否については、税務署または税理士にご確認ください。


これは経費にできない:グレーゾーン5例

スーツ・衣服

国税庁No.2210所得税法施行令第96条に基づく判断では、スーツは「日常着用が可能なため生活費と区別困難」として原則経費不認となる。冠婚葬祭でも着られる、休日にも着られるという実態があれば、業務専用性の証明が難しい。

例外があるとすれば、舞台衣装・ユニフォームなど「業務専用で他の用途に使用不可能なもの」に限られる。「仕事で使ったスーツだから」という理由だけでは不十分だ。

プライベート兼用の飲食費

取引先との食事でも「業務上の必要性と対価関係」が実証できなければ、個人的な飲食費と区分困難と判断される。接待交際費については後述する。

ジム・サプリ

体調管理のためのジム代・サプリメント代は、業務との直接的な関連性の証明が難しく、否認リスクが高いカテゴリとして扱われるのが一般的だ。「健康でないと副業ができない」という論理は、国税庁の判断基準では通りにくい。個別の事情によって判断は変わりうるが、安易に計上するのは避けたい。

業務と直結しない学習・資格取得費

国税庁No.2601と所得税法基本通達37-24によると、資格取得費や学習費は「現在の業務遂行に直接必要な技能・知識の習得」に限定される。

経費として認められない例は次のとおりだ。

  • 将来のキャリアアップ・転職を見据えた資格取得費
  • 現在の副業とは関係のない分野の学習費
  • 事業開業を目的とした資格取得費

副業では業務関連性の審査がより厳格になる傾向があると、国税庁の通達の運用実態から読み取れる。「今の副業に直接使う技術を習得している」という明確なつながりが必要だ。

接待交際費

雑所得に分類される副業では、接待的な飲食費は「業務上の必要性の証明」が特に困難になる傾向がある。国税庁の法人向け通達(No.5265)では法人の交際費規定が定められているが、個人副業では性質が異なる。「絶対にNG」とは言えないが、否認リスクが高いカテゴリであることを念頭に置きたい。


グレーゾーン判断チェックリスト

1. その費用は副業の業務と直接つながっているか

2. プライベートでも使う(使える)ものではないか

3. 使用した記録・根拠を残せるか

3つすべてに自信を持って「はい・いいえ・はい」と答えられない費用は、経費計上する前に税務署または税理士に確認することをお勧めする。


レシート・帳簿の管理:保存期間と電子帳簿等保存法

法定保存期間

国税庁の帳簿保存ガイドに基づく保存期間は次のとおりだ。起算点は「確定申告書の提出期限の翌日(通常3月16日)」になる。

申告区分 帳簿 領収書・書類
白色申告 5年 5年
青色申告 7年 7年

副業で年20万円前後の所得が出るなら、今年分のレシートは少なくとも5年(青色なら7年)は捨てられないと理解しておく必要がある。

2024年から完全義務化:電子取引データの保存

国税庁の電子帳簿等保存制度特設サイトによると、2024年1月より電子取引データの電子保存が完全に義務化されている。2023年12月末で宥恕期間は終了しており、猶予はない。

「電子取引」とは、メールで受け取った領収書・PDF形式のインボイス・クラウド会計ソフトの明細などを指す。これらを印刷して紙で保存することは認められなくなった。

電子保存で満たすべき検索要件は3項目だ。

  1. 取引年月日で検索できること
  2. 取引先名で検索できること
  3. 金額で検索できること

フォルダ管理で対応するなら「2026年-国税庁-3万円.pdf」のようなファイル名で管理する方法もあるが、件数が増えると管理コストが高くなる。電子保存要件を満たしつつ記帳を自動化できる選択肢として、freeeやマネーフォワードクラウドのような会計ソフトがある。義務化に対応するためのツール選びの一つとして検討してみてほしい。
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20万円ルールと経費の関係

最大の誤解:20万円は「収入」ではなく「所得」

国税庁No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」における「副業所得20万円以下は確定申告不要」の「20万円」は、収入から経費を引いた所得の話だ。売上(収入)ではない。

この違いは大きい。

仮定の例: 副業の年間収入が30万円あったとしても、書籍代・通信費(按分)・外注費などの経費が合計15万円あれば、所得は15万円となり、所得税の確定申告は不要となる可能性がある(他の要件による)。

ただし、住民税の申告は別途必要だ。副業所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は居住の市区町村に行う必要がある。この点は見落とされやすいので注意したい。

雑所得でも経費は引ける

副業の所得区分は、年間収入300万円以下であれば雑所得として扱われるケースが多い(弥生の解説)。事業所得か雑所得かは認定基準があるが、年20万円前後の副業では雑所得判定が一般的だ。

雑所得であっても、業務に直接必要な経費は引くことができる。「雑所得だから経費は使えない」という誤解があるが、これは正しくない。経費の考え方は雑所得でも適用される。

確定申告の具体的な手順・提出方法は副業の確定申告ガイドで詳しく解説している。


まとめ:今日できる一歩

副業の経費を正しく管理するための要点を整理した。

  • 経費の基本: 「業務と直接つながり・生活費と区別でき・支払いの記録がある」の3軸で判断する
  • 職種別に主な経費は異なる: Webライター・動画編集・せどり・ハンドメイドで計上できる費用の種類が違う
  • 家事按分に固定比率はない: 合理的な根拠を記録として残せる割合を自分で設定する
  • グレーゾーンは慎重に: スーツ・ジム・接待費・無関係な学習費は否認リスクが高い
  • 2024年から電子保存が義務: 電子取引データは紙保存が不可、3項目の検索要件を満たして保存する
  • 20万円は収入ではなく所得: 経費を引いた後の数字が判断基準になる

今日できる具体的な一歩: 副業に関係しそうなレシートを入れる専用フォルダを一つ決める。物理的なクリアファイルでも、スマホのスキャンアプリでも構わない。「経費かどうか後で判断する」ためにも、まず保存する習慣をつけることが出発点だ。経費の精度より、記録が存在することの方がはるかに重要になる。


よしゅかの視点

副業を始めてから、買ったものを「これは経費になるか?」と自問するようになった。この問いが面白いのは、答えを調べることよりも、問いかけること自体が「自分は何のためにこれを買ったか」を言語化させてくれる点だと思う。家事按分なんかは特にそうで、電気代の何割が副業用かを考え始めたとき、自分が副業を“趣味”ではなく“事業”として扱い始めた瞬間だったと気づいた。まだ確定申告を自分でやったことはないけれど、経費の概念を理解することは、稼ぎ方の前に“何をやっているかの定義”を迫ってくる作業だと感じている。


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